その人の「自立」を促す身体介護とは

身体介護を行う上で、大切なことがあります。それは、「手を貸し過ぎない」ということです。自分でできるところにまで何でも手助けしてしまっては、利用者が動く意欲をなくしてしまい、自立の妨げとなってしまいます。そのため、利用者のペースに合わせ、できる限り自分の力でしてもらうことが、とても大切なのです。

例えば食事介助では、たとえ利用者が自分で食事を口に運べなくても、「食べたい」という気持ちになってもらう、ということがとても重要です。そのためにも、「食事の時間です」という声掛けから始めて、排泄や口腔ケアで気分をスッキリさせてからテーブルに向かい、彩りよく盛り付けられた食事で食欲を刺激するなど、さまざまな工夫をすることが必要となります。

他にも、更衣介助でも、ボタンを大きめのボタンに付け替えてボタンホールも大きくしたり、ボタンが難しいならマジックテープにするなど、自分で脱ぎ着しやすいようサポートを行うことが、大きな自立への手助けとなります。

また、利用者を尊重するということは、とても大切です。プライバシーに気を配り、自尊心を傷つけてしまうようなことは決してしてはいけません。

例えば排泄介助についてですが、排泄を他の人に助けてもらうのは、誰であっても躊躇してしまうものであり、それは利用者にとっても同じことです。介護者がそばにいるとしにくい人ならば、パーテーションを置くなど集中しやすい環境づくりをすることが必要となります。

排泄物の確認も、さりげなく行って本人に気づかせないなど、利用者1人1人に配慮することが必要です。失敗したからといって、否定するような言葉は厳禁です。